泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


だけど、不意に真剣に私のお父さんとお母さんを見つめた郁人は、

「絶対奈緒さんを守りきるんで、

安心して、アメリカに行ってきてください。」

そう言って、私の肩を抱き寄せた郁人にパチクリしてしまう。

だって、

まるで、

郁人も日本に残るって言ってるようで、

いいように解釈してしまう。


「郁人も、日本に残ってくれるの?」

震える声で郁人に聞くと、

優しく笑って、

「当たり前だろ。

奈緒と離れるなんて考えらんねぇ。」

と私の大好きな笑顔を向けてくれた。

私も笑い返して、

二人でニコニコ、甘い雰囲気になってると、

「待て!落ち着け!」

またしてもお父さんの声に怪訝な顔をすると、

「奈緒、怒んなよ。

いや、郁人

佐和子と信助に言わなくていいのか?
郁人もアメリカに行くことになってるぞ?」

お父さんの言葉に、

昨日のことを思い出した。

私は慌てて、

「ちょっと行ってくる!」

と郁人の腕を引っ張って、

自分の部屋から郁人の部屋へ。

そして、

佐和子さんたちがいると思われるリビングに向かった。



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