泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~

郁人side

《奈緒は、誰にもいい顔をしすぎなんだよ。》

俺がついさっき奈緒に言ってしまった言葉が頭から離れない。

奈緒はすごく傷ついた顔をしていて、

《郁人のためなら自分を捨てられるよ。》

そう言った奈緒に、

沢村とのことを思い出した。

本心で言ったわけじゃなかった。

わかってた。

奈緒が八方美人じゃなくて、

素だというのはわかってた。

そんな奈緒も含めて好きだった。

だけど、佐野からの告白でニコニコして断ってる奈緒を見てイライラしたのも事実だ。

これがくだらない独占力ということも嫉妬ということも分かってる。

奈緒が初めて俺を拒絶した。

奈緒の俺を突き放す腕の感触が離れない。

すぐに追いかけられなかった自分が情けなくて、

ごめんが言えなかった自分が情けなくて、

「…ごめん、奈緒。」

ぼそりと呟いた声。

「…それは、本人に言ったら?」

爽やかな声に振り返ると

ニコニコ笑った春樹と、

澄ました顔の理玖。

ニコニコ笑った自称爽やかの腹黒悪魔と、

自称クールの天然男。

なんでこんな二人といれるのか自分でもわからないけど、

どんなときだって支えてくれたのは

奈緒と、こいつらだった。

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