この恋は、風邪みたいなものでして。


「このホテルもね、颯真くんが大学入学と同時に、支配人が企画してみろって颯真君に白紙のまま投げてよこしたホテルでさ。ファッションデザイナーや日本画家、CGクリエイター、など様々なクリエイターに、自分の人脈でデザインとかお願いして彼なりのホテルを頑張って作ったみたいよ」

「そうなんですね。凄いなあ、颯真さんって」

「そう。大学出た若者がこんな人脈を広げてるって、絶対あいつは腹黒いの。貴方って本当に純粋だから心配」

颯真さんは確かに頭の回転は速いけど腹黒いとは思わないけどなあ。
だって本当に腹黒いならば、私に全部真実を伝えようとしないはずだし。

「あら、私のこと信じてないでしょ」
「そんな事ないですよ! めっちゃ信じてますよ」

「言っておくけど、ヤス君の件を手紙か何かでしった颯真君が、調律師の姿で貴方に会いたいって打診して来たんだからね。素顔を隠してマスクしてさ。今が一番隙があるって分かった上での反応よ? 本当にあの計算の高さは許せないものがるね」
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