チョコレートプリンス*きみだけをずっと*



帰り道。あたしは形が崩れたりしないように細心の注意を払いながらゆっくりゆっくり歩いていた。



川崎くんの予想通りになんかさせないもんね。



あたしはもう子供じゃないんだから、ケーキくらい一人で綺麗に持って帰れる。



辺りを気にしながら一歩一歩足を動かすと、いつの間にか目の前には黒いローブを来た人が塀に寄りかかりながら棒立ちをしているのに気づいた。



なんで?今日はハロウィンじゃないのに。



ここに魔法使いの恰好をした人なんているんだろう。普通だったらいてもサンタだよね?



絶対におかしい。ちょっと怖い。



あたしは必死にその方向を見ないようにしながら、通り過ぎようと必死で試みる。



本当は走りたいんだけど、走ったらケーキが型崩れしちゃうかもしれないから走りたい気持ちを抑えて……。



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