Butterfly
「やつれてたって話だし・・・ちゃんとごはん食べてないかもしれないよ!」

アルコールのせいだろう、顔を真っ赤にした里佳さんが、大きくうんうん頷いている。

「えっと・・・でも、多分まだ仕事中だし」

「それはきっと大丈夫!直くんが班長だから・・・融通きかせてくれると思う。ちょっと今から頼んでみるね」

「えっ!?い、いえいえいえいえ・・・」


(どうしよう!市谷さんを巻き込むなんて・・・。恐れ多すぎるんですけど・・・!!)


焦る私に、里佳さんは「大丈夫だよ」とへへっと笑いかけてきた。

「直くん、なんだかんだ言って意外と面倒見いいんだよ。

何も言わないけど、岡本さんのことは心配してると思うから」

「だから大丈夫」と言って、里佳さんはいそいそとスマホを取り出し、すぐさま電話をかけだした。

玲奈さんは「じゃあ早速」と言って龍一くんを布団に下ろすと、キッチンに行って料理の下ごしらえをし始めた。


(大変・・・!これはすでに『やめてください』なんて言えない雰囲気・・・!)


それぞれの役割を始める二人。

勢いに押されハラハラと事態を見守っていると、数分後、里佳さんが右手でオッケーのポーズをとった。

「今張り込み中なんだけど、10分くらいなら会う時間くれるって」

「おっ!やったねー、さすが市谷さん!」

里佳さんと玲奈さんが、妙にウキウキ盛り上がる。


(これはもう・・・行くしかない・・・)


許可してくれた市谷さんに、今更「やめたい」なんて私は言えない。

不安ながらも覚悟を決めて、私は里佳さんと玲奈さんと一緒に差し入れ作りに取り掛かった。








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