Butterfly
「付き合おうって言いだしたのは貴見の方?」

「はい」

「ふーん・・・なるほどね」

お人よしのお嬢様。

女性慣れしている悠翔さんが、うぶな咲良を振り向かせるのは、とても簡単なことだったかもしれない。

「彼に使ってたお金は?全部お小遣い?」

「はい・・・。貯金もありますし、パパから自由に使っていいクレジットカードを渡されているので・・・」


(自由に使っていいカード・・・)


そんなものを持たせる親が、この世に本当に存在するんだ。

まるでドラマか小説の世界のようで、私はとても驚いた。

「うーん、自由にかあ・・・。裕福な家庭のことはわからないけど・・・。

きっと、お父さんは洋服とか化粧品とか、そういうものに使っていいようにキミに渡したんだと思うけどね」

実際は、ホストクラブで使われていた。

この事実を知ったなら、咲良のお父さんはどれだけショックを受けるだろうか。

龍平さんの言葉に、咲良は「はい」と言って泣きそうな表情でうなだれた。

「騙されてるって、思ったことはなかったの?」

市谷さんが問いかける。

咲良はつらそうに目を伏せて、迷いながらも頷いた。
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