Butterfly
「そんな人じゃないって、思っていたから・・・」

「・・・」

訝しそうに、市谷さんが目を細めた。咲良はそのまま話を続ける。

「お店にはたくさん女の子が来てたけど、私だけは特別だって、悠翔さんはいつも言ってくれてたんです。

だから、その気持ちも、お金のことも、全部・・・彼を信じていたから・・・」

咲良の瞳が潤みだす。
 
市谷さんは目を逸らし、表情を硬く曇らせたけど、すぐにまた視線を合わせて語り掛けるように咲良に言った。

「貴見がキミを特別だと言ったのは、どこまで本気かわからないけど。

少なくとも、調べた限り会社経営なんてしていない。キミには嘘をついてたんだろう。

そして、キミからは金銭も受け取っていた。そのことに関しては、騙してたとしか言いようがない」

「・・・」

「これは、キミが悪いわけじゃない。だけどもう少し人を・・・男を疑うことを知った方がいい。

少なくとも、ああいう場所で出会う男は、キミには合っていないと思う」

「・・・うっ・・・」

断言するような物言いに、咲良は手で顔を覆ってついにポロポロ泣きだした。

市谷さんははっとしたような表情をして、眉間にしわをぎゅっと寄せた。

「あああ・・・ほら、市谷さん、女の子泣かしちゃだめじゃないですか」

「・・・・・・」
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