Butterfly
夕飯を済ませ、向かった蒼佑さんの家は、住宅街のはずれにある3階建てのマンションだった。

居住者は、カップルも何組かいるようだけど、ほとんどが単身者らしいと蒼佑さんは言っていた。

階段を上り、つきあたった角部屋の201号室が蒼佑さんの家。

開錠してドアを開けると、申しわけなさそうな顔で言う。

「ごめん、ちょっと・・・5分くらい、ここで待っててもらってもいい?」

半畳ほどの小さな玄関。

その先には、短い廊下がつながっていて、さらにその奥には、リビングへ続くであろうガラス戸が半開きになっていた。

チラリと見えたリビングは、結構散らかっている様子。片付け時間は必要そうだ。

「うん、わかった」

「ごめんね」

彼は急いでリビングに向かい、バタバタと片付けを開始した。


(いきなりだったから悪かったな・・・)


玄関も、靴だけでなくなぜかバケツやペンキが転がっていて、ちょっとカオスな光景だ。


(・・・って、あんまり見たらいけないか)


目を逸らし、カバンからスマホを取り出すと、母へのメールを作成しておく。

もしかしたらの事態に備え、実家暮らしは連絡必須だ。

『帰りがけに友達と会ったから、家に泊めてもらうかもしれない』

なんて、見え透いた嘘のメール文章なのだけど。


(デートだって言って出てきたし・・・バレバレだとは思うけど)


もう大学生の娘です、どうか嘘に付き合ってください・・・。

心の中でお願いをして、母にメールを送信する。

するとすぐさま、返信がきた。

『了解』


(え!?それだけ?)
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