パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
主役の琴美がそうだというのに、脇役の私がウエディングドレスを着ていることの滑稽さといったらない。
これじゃ、張り切りすぎた介添え人みたいだ。
ちょっと恥ずかしい気持ちで、やられるがままにメイクをされ、下ろしていた肩までの髪の毛は、あっという間に素敵なまとめ髪へと変身してしまった。
鏡に映るのは、いつもとは全然違う自分の姿。
隣に座っていた琴美は、私よりひと足先にヘアメイクを終え、席を立ってしまった。
どこに行ったんだろう。
今度こそ試着しに行ったのかな。
そんなことを考えているうちに、頭にはティアラまで乗せられ、首元を飾るダイヤのゴージャスなネックレスを付けられてしまった。
このまま本番を迎えられそうな勢いだ。
「完成です」
女性スタッフはにっこり微笑んだあと、私を置いて出て行ってしまった。
ちょっと……どうしたらいいの?
琴美は?
困り果てて立ち上がったときだった。
……嘘。
入って来た人物に目を見張る。