パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
「やったー」
仁に抱き上げられた海二は、嬉しそうにはしゃいだ。
「それじゃ、相原さん、あとは私が責任を持って二葉を連れて行きますから。あちらで待っていてください」
琴美が左手をひらりと返すと、海二を抱いた仁は、「またあとでな」と私の額にもう一度口づけて、部屋を出て行った。
「あーあ、ラブラブなところを見せつけられちゃった。池田くんとの結婚式のときに見ていなさいよ?」
琴美は顔を手でパタパタと仰いで、笑いながら私を軽く睨んだ。
「楽しみにしてる」
そう返すと、「幸せの絶頂にいる人の余裕ね」とさらに鋭い視線を投げてよこした。
「それじゃ、行きましょうか、花嫁さん」
琴美が腕を私に突き出す。
そこに私の腕を絡ませ、部屋を出た。
長い長い通路を琴美とふたり並んで歩く。
「二葉、本当に綺麗」
歩きながら琴美が私をしみじみと観察する。