パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
「琴美にはすっかりはめられちゃった。けど、本当にありがとう」
きっと、こうでもしてもらわなかったら、結婚式を挙げることもなかったと思うから。
「私、本当に嬉しいの。二葉と相原さんがこうしてまた……」
そう言って、突然涙ぐむ。
「やだ、琴美ってば、泣かないでよ」
「だって……」
ハンカチで目元を押えながら鼻をすすった。
その涙につられて泣きそうになりながら、ホテルの中庭へと出た。
芝生が敷き詰められた広い庭園。
左手には楓や銀杏の木、右手には小さな滝があって、ここがホテルの中だと言われても、すぐには信じられないような場所だった。
そこをさらに進んでいくと、真っ白なチャペルが姿を現した。
秋の高い空に映える純白の教会。
その入口には、待ち構えるスタッフのほかにお父さんの姿があった。
「琴美がいろいろと手配してくれたの?」
参列者は琴美くらいだとばかり思っていただけに、そこにお父さんがいたことはちょっとした驚きだった。