パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
「相原さんとふたりでちょっとね」
いたずらをした子供のように琴美が笑った。
「……本当にありがとう、琴美」
いくら言っても足りないくらい。
入口まで到着すると、琴美は私の腕から離れ、横にあるもうひとつの入口から中へと入って行った。
向かい合って立つお父さんが、目を細めて、しきりにあちこちへと視線を逸らす。
私も同様に恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
でも、それ以上に大きかったのは、感謝の想いだった。
「お父さん、今日はありがとう」
「……いや」
短く答えると、私の腕を取って自分の腕へと絡ませる。
そして、「行くぞ」と号令のような声を掛け、ふたり真っ直ぐ前を見た。
バーンと開け放たれた扉。
天井のステンドグラスからは、燦々と光が射し込んでいた。
そこから射し込む光の眩しさに一瞬目を閉じる。
そして、私の目に飛び込んできたのは、穏やかに微笑みかける参列者たちの姿だった。