わたしの意地悪な弟
お母さんは驚きながら日和を見る。
「要は樹に関しては筋金入りってこと」
日和はそういうと、コーヒーをコップに注いだ。
幼稚園と言わなかったのは、彼女なりの思いやりだろうか。
樹の顔が真っ赤に染まった。
「そっか。嬉しいような複雑なような変な気持ちね。この写真はさすがに見せられないから、あなたたちでどうにかしなさい。
ただ、気味が悪いわね。またばらまかれないといいけど」
お母さんはそういうと、髪の毛をかきあげた。
わたしたちは部屋に戻ることにした。
写真は日和がお母さんから預かっていた。
彼女はその写真を見て、眉根を寄せる。
「ここってM公園だよね。この角度からだと公園の通りかあ。わたしたちの中学の校区じゃないし、お姉ちゃんたちと同じ高校の人かな。思い当たる人はいる?」
「写真は分からないけど、花火大会の日にわたしと樹を見たという人がいたの。その子かもしれない」
「それってまさか、田中恵美?」
わたしは驚き樹を見る。
彼は何かを納得したかのように、ああとうめいた。