わたしの意地悪な弟

「やっぱりあいつか。前、妙なことを言い出したんだよな。自分の告白を断ったら、俺と千波がキスしていたことをばらすってさ」

「キスって、こんな短期間に目撃されたの? 外で?」

 日和は不思議そうにわたしたちを見る。

 わたしも樹もその場に凍り付いていた。

 日和はそんなわたしたちを見て、何か納得したようだ。

「そういうことなのか。どうせ樹からしたんだろうけど」

 本当はそれだけではないが、これ以上言うとぼろがでそうな気がして、わたしも樹も黙り込んだ。

「その子とは同じクラス?」

 樹が首を縦に振る。

「その子とのやり取りを詳しく話してよ。お姉ちゃんの部屋で。樹はその子の写真を持ってきて。クラス写真に写っているんでしょう」

 日和はそういうと、わたしの部屋の扉を開けた。

 樹は自分の部屋に戻り、クラス写真を手に戻ってきた。

 わたしたちは写真を取り囲むようにして、床に座り、日和は誰が田中恵美か確認させていた。
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