わたしの意地悪な弟
「樹はいつ言われたの?」

「彼女から告白されて、俺は数日後断ったんだよ。そしたら、そう言われた」

「それって何月くらい?」

「十月くらいだったと思う」

「時間あきすぎだよね。ということはお姉ちゃんと樹が付き合い始めたのを知り、行動をおこしたのか。その告白のとき、樹はそう言われてなんて返事をしたの」

 渋る樹を日和は強引に口を開かせた。

「俺が無理やりちなみにキスしただけだから、それをはっきり言うってさ」

「無理やりって、相手がお姉ちゃんでよかったよね。キスしたのはこの前、後?」

 日和が手にした写真を見る。

 わたしはその写真を両手で隠した。

 樹も顔を引きつらせる。

「お母さんたちには言わないでよ」

「黙っていてあげるよ。この前のリビングのことも誰にも言ってないもの。この前にキスしたの? 後?」

「そんなの必要ないじゃない」

 わたしは日和を睨む。

「これがその後なら、この写真をポストに入れたってことは、キスの写真はさすがに撮られていないんじゃない? これじゃ波紋を起こすには中途半端でしょう?」
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