わたしの意地悪な弟
「そっか」

 不幸中の幸いというものだろうか。

「その子にあって写真の削除をさせないとね。この写真をあのままにしておくわけにはいかないでしょう」

「でも、してくれるかな」

「してもらうんじゃなくて、させるのよ」

 そういうと、日和は得意げに微笑んだ。

 わたしと樹はその日、デートをするのを控えることにした。

 後味が悪いし、楽しむ心境ではないからだ。

 その日の夜、父親はわたしと樹を見ながら、何かを言いたそうにしていたが、直接言ってくることはなかった。

お母さんにはお父さんはお母さん以上に受け入れるのに時間がかかりそうだから、彼が何かを言うまで待っていてほしいと言われたのだ。

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