わたしの意地悪な弟
「学校、遅刻したらどうするの?」

「大丈夫。行く途中で気分が悪くなったと先生に言うよ」

 彼女は満面の笑みで答えた。

 親や先生にばれたらかなり大変そうだが、彼女ならそつなくこなしそうとは思ってしまう。

「今日、写真をばらまかなかったら?」

「明日も学校に行く」

 わたしは頭を抱えた。

「こいつに何を言っても無駄だよ」

 樹は呆れ顔で日和を見る。

「さすがお兄ちゃん、よく分かっているね」

 日和の言葉に樹は複雑そうな表情を浮かべた。

 恵美は本当にそこまでしたのだろうか。

 わたしを脅迫した時点で好感度自体は低いが、彼女を犯人だと断定するのは、やはり引っかかる気持ちはあった。

「もし、何もなくても、人が多くなってきたら、学校に行くから大丈夫だよ」

「分かっているけど」

 わたしは言葉を飲み込む。

 日和は意外そうな顔でわたしを見た。

「その子が犯人じゃないと思っているの?」

「そうじゃないけど、そこまでするのかなって」
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