わたしの意地悪な弟
「お姉ちゃんを蹴落として、樹の彼女になりたいんじゃないの? お姉ちゃんや樹を脅迫する時点でアレな子だと思うよ」

「その子、佐々木春奈という子の応援はしていたみたいなんだ。だから彼女になりたいわけじゃないと思う」

 わたしの中で引っかかっていたのはそれだ。

 それなら、彼女はあんなに可愛い佐々木さんを応援するようなことを言ったのだろう。

 佐々木さんの恋を実らせるためにわたしと樹を別れさせようとした?

 そう考えるが腑に落ちない。

 話を聞く限り、そこまで二人は仲がよさそうには感じなかった。

「お姉ちゃんは甘いよね。そんなのその子相手なら自分にもチャンスがあると思ったんじゃないの」

「ものすごく可愛い子だよ。客観的にはわたしのほうが勝ち目があると思う」

 何かを言いかけた樹を日和が制した。
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