わたしの意地悪な弟
「樹はお姉ちゃん以外には興味ないもの。それなりに可愛い子なら目移りするかもしれないし、お姉ちゃんと樹を引き離せると思ったんだろうね。

そのあと、その子から樹を奪えばいいってね。そもそもお姉ちゃんから樹を奪えるような子なら、その子にも勝ち目はないだろうけど。

それに、樹を嫌っていてばらまくなら、もっと早い段階でばらまいているはずだよ。

ここまで引っ張ったってことは、樹からそう言われて多少なりともショックだったのと、もうこうしないと勝ち目がないと思ったんだと思う」

「そんなの、すごい迷惑なんだけど。俺は千波のことだけが好きなのに」

 樹は難しい顔をしていた。

「今の段階は仮定でしかないけどね。樹はこれからも注意したほうがいいよ」

 そういうと、日和は大げさに肩をすくめた。

 わたしたちが交差点に到着すると、見慣れた姿を見つけた。

 利香だ。

 彼女はわたしたちに気付いたのか、手を振った。

 わたしたちは利香のところまで行く。
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