わたしの意地悪な弟
「私に消させて」

「そんなこといって携帯のほかの写真を見る気でしょう」

「あなたの写真なんて、樹たちの写真以外興味ないわよ。その間にバックアップでもとられたら面倒だもの。どうせ、あなたに拒否る権利はないでしょう?」

 日和は恵美から携帯を受け取ると、操作をしてその写真を削除する。

 スマホを恵美に渡した。

「これで削除完了だね」

「あなたも早く消しなさいよ」

「わたし、消すなんて言ってないよ。あなたがスペアを作っていないとも限らない。だからこれはわたしが保管しておいてあげる。この動画をばらまかれてまでも、恋人同士の写真をばらまくメリットがあなたにあるとは思えないけどね」

 そう日和は得意げに微笑んだ。

 恵美は無言で立ち上がると、そのまま学校をあとにしていた。

 さすがに今日は樹と合わせる顔がないのだろう。

 彼女のしたことは歓迎できないが、これで学校をやめるとなれば後味が悪い。 


 日和はそれからスカートだけを履き替え、自分の学校へ直行することになった。

 ただ、コートをぬがなかなのだから、わたしの制服を着る必要がなかったりしたが。

 制服は学校で着替えるらしい。
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