わたしの意地悪な弟
 わたしはお母さんの言葉を思い出す。そして、そっと唇を噛んだ。

 すぐに親に認められる関係とはいかないかもしれない。でも、わたしと樹が幸せになれるように頑張ろうと思ったのだ。


「日和もだけど、利香も普通に受け入れているんだね」


「樹君があれだけ千波一筋だったのを見ていると、どうしても背中を押したくなっちゃうよ。それに千波もまんざらじゃなかったみたいだもん」

 日和も同じようなことを言っていたのを思い出し、なんとなしに笑ってしまっていた。




 家に帰ると、樹がわたしの部屋に「入っていいか」と聞いてきたのだ。

 わたしの部屋に入った樹は床に座ると、樹は申し訳なさそうな顔をする。

「今日は本当にごめん」

「樹のせいじゃないよ。わたしもあの子からいろいろ言われていたし、可能性を考えておかないといけなかったんだよ。でも、親の許可は得たとはいえ、しばらくは目立つ行動は控えたほうがいいよね」

「そうだよな」
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