社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
最初に立ち寄ったのは本屋。レシピ本のコーナーへと足を向けた。料理はまだまだだけど、お菓子作りは小さい頃から好きだ。今度甘党の衣川課長になにか作ろうと、何冊か手にとって吟味する。

私の隣では、女子高生のふたり組が私と同じように彼に、手作りスイーツを作ろうとレシピを見ながら相談している。私もこっそりを彼女たちの会話に耳を傾けながら手に持った本をめくった。
シフォンケーキは好きかな? ホットケーキ食べてたとき、すごく美味しそうに生クリームも食べてたからシュークリームもいいかも。

彼の喜ぶ顔を思い浮かべながら一冊のレシピ本を購入し書店を出た。

三月の夜はまだまだ寒い。私はマフラーに顔をうずめながら駅に向かって歩いた。

その途中で一軒の雑貨屋が目に入る。外は気温が低くて寒いのに、ディスプレイは春を感じられる明るいもので、思わず引き寄せられるように店内に入った。

明るい店内に足を踏み入れると、桜色の雑貨がまず目についた。綺麗な色の桜の形をした箸置きや、湯呑が並べられてその一角は和の柔らかい雰囲気が感じられた。

いくつか手にとって眺めては、元の場所に戻してウィンドウショッピングを楽しむ。ふと顔をあげると、壁に埋め込まれている棚に飾られているマグカップのところで、目が留まる。

——これ、ふたつお揃いだ。

近づていって手に取る。丸みがしっくりと手に収まる感じがした。薄めの飲み口ですごく飲みやすそうだ。

シンプルなつくりだけど、薄い水色と桃色のカップが並んでいる様子がすごく様になっている。

衣川課長とお揃いで買っちゃおうかな……。
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