社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
衣川課長は、きちんと整頓されたキッチンでコーヒーを準備してくれた。私はそれを邪魔にならないように彼の傍でずっと見ていた。
ミルクパンを取り出すと、冷蔵庫から牛乳を取り出して温め始める。
「朔乃もカフェオレだろう?」
「はい」
いつの間にか、シャツの袖をめくっていた衣川課長は出際よくコーヒーをドリップしている。コーヒーのいい香りがキッチンに充満すると、どちらからともなく見つめ合ってほほ笑えんだ。
言葉がない時間も、そこに幸せを感じられる。この穏やかな時間がわたしにとって大切だった。
丁寧に淹れてくれたコーヒーに温めたミルクをゆっくりと注ぐ。私が買ったマグカップには、おいしそうなカフェオレができあがった。
水色のカップの方に、衣川課長はお砂糖をいれる。
「朔乃は?」
「今日はやめておきます」
「ん」
短い返事をした彼が、私に桃色の方のマグカップを渡してくれた。
その場で味を確かめる様に一口飲んだ彼にならって、私もお行儀が悪いと思ったけれど、その場で飲んだ。
コーヒーの豊かな香りと、まろやかなミルクの味が口の中に広がった。
「おいしいです」
「そうか、よかった」
私の大好きな柔らかい笑顔を彼が浮かべた。私もつられて笑顔になる。
「それにしても、課長は相変わらず甘党ですね。そのカフェオレ甘くないですか?」
「俺にはちょうどいいけど……朔乃も飲んでみる?」
「はい。少しだけいいですか?」
私は、カウンターの上にマグカップを置くと、衣川課長の持っているマグカップを受け取ろうとした。