社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
しかし、私にマグカップが差し出されると思っていたのに、彼がそのままもう一口飲んだ。
不思議に思っていると、不意に腕を引かれる。
あっ……。
抵抗する間なんてなかった。気がつけば衣川課長の形のいい唇が私の唇に重なっていた。
「っん……」
突然のことで目を閉じるひまもなく、目を伏せた衣川課長の顔が至近距離にあった。長いまつげの影が少し揺れている。
カフェオレの味がわずかにしたけれど……それもすぐにわからなくなった。
カタンっと音をさせて、彼が持っていたマグカップをカウンターの上に置いたのが見えた。
自由になった手で、彼が私の髪に手を差し入れた。支えるようにして私を少し上向きにする。
呼吸をしようと薄く開いた唇から、彼の舌がこじ開けるようにして入ってきた。体が一瞬にして熱くなる。恥ずかしくなった私はギュッと目をつむった。
それと同時に、腰にまわされた彼の手に力がこもり、私を引き寄せて密着させる。彼を全身で感じる。
何度もキスを繰り返されるうちに、足がふにゃふにゃになって立っていられなくなったころ……そっと唇が離れた。
「なぁ、甘くてうまいだろう?」
悪戯混じりの笑みに、体が粟立つ。普段クールな衣川課長の見せる素顔は、どんな時だって私を虜にしてしまう。
「味なんて……わかりません」
正直に答えた。最初にほのかにカフェオレの味を感じた以外は彼のキスに応えるので精一杯だった。
「そうか……じゃあ、もう一回教えてやる」
「えっ……」