社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「はぁ……」
あのミスの日から一週間ほどたった昼休み、出勤してすぐに干していた布巾を回収するために屋上へと来ていた私は、誰もいないことを確認してため息をついた。
あの件については、すでにすべて処理も終わり今日無事に納品も終わった。結果お客様には迷惑をかけずにすんだことだけが救いだ。
あれから、いつにもまして慎重に仕事をすすめて、日常は問題なく進んでいる。けれど、自分のやってしまったミスに自分自身がまだ立ち直れていない。
「まだウジウジしてるの?」
背後から声をかけられて振り向くと、そこには貴和子さんが立っていた。
「貴和子さん……お疲れ様です」
私の元にきて、綺麗なリボンのついた箱を差し出してくれた。
「これ、あげる」
それは先日できたばかりのショコラ専門店のチョコレートだった。チョコレート好きとしてチェックはしていたけれど並ばなければ買えないという噂を聞いていたので、目にするのは初めてだ。
「いいんですか?」
「それはもう河原さんのだから。ほら、開けて食べてみなさい」
言われるままにリボンをほどいて、箱を開ける。そこには、綺麗な形の種類の違うチョコが六個並んでいた。
一粒つまんで、口にほおばるとミルクチョコが口の中でとろける。それまで眉間によっていた皺が一気にほどけた。