社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
でも、今日くらいは自分の気持ちをきちんと伝えよう。

成瀬のことは好きだ。部屋の中に踏み込んだらもうきっと後には引き返せない。

だけど問題を放っておいたまま、成瀬の胸にとびこむことなんてできない。

私は俯いていた顔をあげ、意を決して話をした。

「成瀬の彼女に悪いから……」

「彼女?」

私の発言に、一瞬怪訝そうな表情を浮かべた。私は付け加えるように説明する。

「成瀬が……私を好きだって言ってくれたこと、本当に嬉しい。だけど……彼女とはどうなったの? この間、酔っぱらったアンタを送ってきたときに、部屋の中から出てきた人」

私の説明でやっと合点がいったのか「あぁ、アイツのことか。会ったんだっけ?」と一言つぶやいた。

「会ったんだっけ?」ってそれだけ?

もっと隠そうとしたり、慌てたりするもんだと思っていたのに想像とは違う成瀬の態度に、こちらのほうがリアクションに困る。

「その話、部屋でちゃんとするから、ココは寒い。とにかく入ろう」

「でも……」

「いいから」

強引に背中を押されて、私は階段を一歩ずつ成瀬の部屋に向かって登っていった。
< 105 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop