社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
訳もなく彼の名前を呼んだ。

彼が私に触れる手の動きが激しくなる。彼の唇と大きな手のひらで、今まで彼の前でみせていなかった新しい自分を見せる。

それをひき出してくれた成瀬の腕に縋り付き、次第に大きくなる声を我慢できなくなったころ、成瀬が私の目をみつめて切りだしてきた。

「悪い。もうマジで限界」

その切羽詰まった様子に、思わず笑ってしまった。

そんな私の髪を照れた様子でぐしゃっと掻きまわすと、体を起こして最後まで身に着けていた下着を脱ぎ捨てた。
私に覆いかぶさると、さっきまでとはちがう優しいキスが私の頬に落とされた。

「笑っていられるのも、今だけだぞ」

そう宣言した成瀬の言葉は本当で、成瀬とひとつになった私は駆け上ってくる快感にすぐに余裕をなくした。ただ必死で彼の動きについていく。彼に触れられているところが熱くて溶けてしまいそうだ。

ふと、目をあけたらすぐそこに成瀬の切ない瞳があった。

「汐里……」

彼がそうつぶやいた瞬間……私は自分の中が成瀬で満たされるのを感じた。

記憶が曖昧な中覚えているのは、成瀬の表情だった。

それは、五年間傍にいて見続けていたはずの彼のどの顔とも違った。

そこにいたのは、私の——私だけの成瀬だった。
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