社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「なんだ、朝からお前らなにやってるんだ?」

後ろから声をかけられて、振り向くとそこにはニヤニヤした深沢部長が立っていた。

……万事休す。

「はは〜ん。やっとお前らくっついたのか?」

鋭い突っ込みに、焦った私はしどろもどろになる。

「ぶ、部長、違うんです。ね、成瀬!」

必死で手を振りほどいて、なんとかその場をごまかそうとするけれど、成瀬は私の手をギュッと握ってきた。それも恋人つなぎで。

「ちょっと、バカ……」

「俺たちつき合うことにしたんです。報告したんで部長公認ってことでいいですか?」

「マジか! いや、めでたいな」

なぜだか深沢部長がものすごく嬉しそうだ。

「で、式はいつだ?」

「近いうちに、ご報告できる様に頑張ります」

「は、はぁ?」

驚きで目を白黒させる私を見て、深沢部長が豪快に笑った。

「式では、感動の祝辞してやるからな。それより、お前ら遅刻だぞ」

腕時計を見ると、あと五分で始業時間だ。

「やばっ! 滝本、走るぞ。あれ、深沢部長は?」

「あ、俺はフレックス認められてるから」

余裕でブイサインをする上司を置いて、私と成瀬は走り出した。

朝からとんでもないことになってしまった。けれど、隣で走る成瀬を見てこれでよかったような気もする。

これからも、こうやって成瀬の横で一緒に走り続けたい。

一番近くで彼のことを見ていたい。

今までとは違う、一番近い場所で。

END








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