社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
近くのコンビニでタクシーを待たせたまま、ミネラルウォーターと、グレープフルーツジュースを買った。

成瀬は明日きっと二日酔いだから、ビタミンを取ったほうがいい。それと飲まされてばかりで、あまりなにも食べてないだろうからサンドイッチも一緒に買ってタクシーに戻った。

そこからすぐ成瀬のアパートに着いた。支払いを済ませて成瀬を起こすと目をつむったままだったが、ちゃんと歩いてくれる。

「よかった……成瀬もうちょっとだから、頑張ってね」

「ん……」

目をつむったまま頷いている。

「よいしょっと」

私はコンビニの袋を落とさないように気をつけて、成瀬に肩をかし、二階にある部屋を目指した。

「はぁ……はぁ、どうして二階になんか住んでるのよっ!」

いくら自分で歩いているからといっても、ふらついている男性を支えるのはキツイ。私はブツブツと文句を言いながら階段を一歩一歩進んだ。

「えーっと、確か……あったあった」

表札には【成瀬】とちゃんと記載があった。

「ねぇ成瀬、鍵はどこにあるの?」

「は? 鍵なんて知らねーよ」

ガシガシと頭を掻きながら答えた。
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