社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「このままじゃダメだ」

私はスマホのキーロックを解除して、朔ちゃんへとメールをした。

もうひとりでは抱えきれない。朔ちゃんならちゃんと私の話を聞いてくれるはずだ。

ランチを一緒にしてくれるという朔ちゃんからの返事をもらうと、気持ちが切り替わったのかあまりにもひどい姿の自分がかわいそうになってきた。

思い立ってすこし剥げていた足のペディキュアを塗りなおして、一枚二千円のシートマスクで、ボロボロになった肌を整えた。

徐々にいつもの自分に戻していかないと。

貴和子さんは『女が自分を着飾るのは武装と一緒』なんて言ってたけど、あれ本当だ。

すこしでも綺麗に、凛々しく。中身はズタボロでも見かけだけでもきちんとしていればおのずと背筋が伸びる。

鏡を見ると、さっきよりはすこしましになった自分と目が合った。

「よしっ!」

気合を入れて何も考えなくていように、部屋の掃除を始めた。

溜まっていた洗濯をやってしまって、アイロンもかけた。

まだ胸はモヤモヤしていたけれど、部屋が整っていくうちに自分の心もすこし落ち着いたみたいだ。
< 44 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop