社内恋愛症候群～イジワル同期の甘い素顔～
いきなりの私の言葉に驚いたのか、手に持っていた金属製の串を音をたてて落とした。

そんなに驚くようなこと聞いたかな？　たしかに仲良くなってからこの手の話はあまりしたことなかったかもしれない。

「ど、どうしてですか？」

急にこんな話をして驚いても無理ないし、理由を聞きたがるのもわかる。

私もどうして、そんな話題から入ってしまったんだろう。ちょっと反省して回りくどい言い方をするのを止めた。

「回りくどい話苦手だから単刀直入に話すけど、私ね成瀬の彼女に会ったんだ」

「な、成瀬さんの彼女!?」

突然の話題で驚いたみたいだ。そこで私は成瀬を送っていった先の彼のアパートで、彼女と鉢合わせしてしまったことを話して聞かせた。

なにか言いたそうだったけれど、最後まで口を挟まずに話を聞いてくれた。

「その方って本当に成瀬さんの彼女なんですか？」

思っても見なかった第一声に驚いた。

私の説明が下手だったんだろうか。どう判断してもあの状況であの人が彼女じゃないと判断するほうが難しいと思うんだけど。
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