社内恋愛症候群～イジワル同期の甘い素顔～
「だって、そうとしか考えられないでしょ。他人の留守宅にホットパンツ姿で滞在する人なんていないもの」

「確かにそうですけど……」

私の言葉に一応は納得しているみたいだけど、どこか腑に落ちていない様子だ。

「私は、成瀬さんと話をしますけど彼女の話は一度もしたことがないんですね。だから今はフリーだと思っていました」

「男だしそういう話はしないのかもしれないよ」

「確かにそうですね……でもこればっかりは成瀬さんに確かめるしかないですよ。ちゃんと話をするといいです」

朔ちゃんはあくまで冷静でいる様にとアドバイスをくれた。

確かめる必要があるのかな……。でも万が一の希望にかけたいという思いがある。

あのとき成瀬がちゃんと起きていたら、こんなふうに悩まなくて済んだのに。

といっても……決定的に失恋するか、片思いがこのまま続くかのどちらかなんだけど。

とにかく朔ちゃんの言う通り、成瀬にそれとなく話をしてみよう。

私は自分の考えをまとめた。

そんな私を見て、私の成瀬への思いがばれないわけなどなく……。しかも、前々から薄々知っていたと言われて、気がつかれてないと思っていた私は恥ずかしくなった。
< 48 / 119 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop