社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
別に衣川課長が嫌いなわけじゃない。上司としても同じ営業職の先輩としても尊敬している。

けれど、プライベートを一緒に過ごすとなると話は別だ。

詳しく話しを聞いてもやっぱり、想像ができない。

あのあとまさか、衣川課長が朔ちゃんの家に泊まっただなんて! しかも実家だし。

それに翌日パンケーキをお店に並んでまで一緒に食べたって。衣川課長が仏頂面でパンケーキを食べている姿が頭に浮かんで慌てて掻き消した。

朔ちゃんの話す衣川課長の話は、私の知っている彼とは大きくかけ離れていた。どうやっても衣川課長の笑顔の顔が思い浮ばない。

しかし私が一番不思議に感じるのは、朔ちゃんが衣川課長の話をするときすごく嬉しそうな顔をすることだ。

「それでですね……」

今もデザートを食べながら昨日の話の続きをしている。すごく楽しそうだ。

私はその後、朔ちゃんの話を聞くことに集中した。

成瀬の件は明日以降本人に確かめてみよう。そして衣川課長については、完全に明日から見る目が変わりそうだ。
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