社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
日芝で課長になろうと思えば相当の努力と実績が必要だ。上司として尊敬はできないけれどきちんと仕事ができなければ今の地位にいられないということは理解できた。

「タヌキって、もう。でも今回のことも後任を若林くんにしたでしょう。それは彼に大きな案件を経験させたいという思いと、彼なら滝本さんと同じスタンスでお客様に接することができる。そして、滝本さんもサポートにつきやすい。チーム全体を見れば必要な交代だったとも言えなくないわ」

貴和子さんの言葉に、目から鱗がおちた気分だ。

「そういう考え方もあったんですね」

そこまで考えてもなかった。自分ばかりが不遇な立場をしいられていると……出来ないから外されたとだけ思っていた。

物事をまっすぐにしかみられない、不器用な私は大切なことを見おとしていたのだろうか?

「それに、こういこうとされると、滝本さん仕事に燃えるでしょう? それも見越してじゃいかな?」

「たしかに、今日も午前中だけで二件契約取ってましたよね?」

「朔ちゃん、よく知ってるね?」

本当についさっき成約したばかりだ。

「成瀬さんが自分のことのように喜んでたから。衣川課長に『人のことより自分もやれ』って一喝されてましたけど」

たしかに、嬉しくて成瀬にメールで報告をした。それをわざわざ朔ちゃんに話をしたのだろう。

「別に、みんなに言わなくてもいいのに」

照れくさくてうつむいてしまう。
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