社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
佐山課長の思惑通りか、私はがむしゃらに仕事を頑張っていた。
金曜日の二十一時半。平日ならまだ人の多いこの時間、フロアには私と数人しか残っていなかった。
週末に来週以降の行動予定を立てておくと、月曜スムーズに仕事ができる。
聖学園のぶんを穴埋めするのは、正直至難の技だ。自分の顧客リストを担当者の名刺を机にいっぱい並べて、それぞれとの会話を思い出してみる。
たしか、ここは再来月が決算だからその前に一度様子を伺ってと……あっ、ここは確か来月中途採用をとるって言ってたな。
会話の中に何かヒントがないか考える。
腕組みをしてブツブツひとり思い悩んでいると、頬に熱を感じた。
「熱いっ!」
驚いて振り向くと「あははは、なんだその間抜け面」と肩を揺らして笑う成瀬の姿があった。その手に持っているのはコーンスープの缶だった。
「ほれ、差し入れ」
差し出された黄色い缶は、さっき感じたほど熱くはなかった。
「どうして、差し入れがコーンスープなの?」
「なに? おしるこがよかった?」
「はぁ? 仕事中におしるこ飲む人いる? あ、でも自販機においてあるよね!」
「だよな? 俺もいつも誰が買ってるか不思議だったんだよな」
そんなどうでもいい話をしながら、成瀬が私の隣の若林くんの椅子に座った。そして自分の手に持っていた同じコーンスープのプルタブを開けて飲み始める。