社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
せっかくなので、私も一緒に飲むことにした。

「いただきます」

「どーぞ。つーか、頑張ってるな。残ってるやつほとんどいないぞ」

「成瀬だって残ってるじゃない」

「まぁ、そうなんだけどな。なになに、あぁ……ここの担当者会ったことある?」

成瀬が指差した名刺を見て記憶をたどる。

「うん。一度だけ」

宮本(みやもと)産業か……正直あんまりいい印象がない。ただここはすこし早いが従業員も増えたしシステムの入れ替えの提案をしたいと思っているところだ。

担当者が苦手だとか言っている場合ではない。

「あ、担当が変わったんだっけ? ここ、俺が新人の時にお世話になった会社なんだ。なにかうまくいかなくて困ったことがあったら、前の担当者に相談するといい。きっと契約の話もスムーズに進むはずだから」

「ちょっと待ってろ」と言って成瀬は自分のデスクに戻ると、名刺ホルダから一枚取り出しすぐにコピーしてくれた。

「俺の名前出して、訪ねていけばいいから」

「ありがとう。助かる」

私はもらったコピー用紙を大事にしまった。

成瀬のサポートが嬉しくて、さっきまでの憂鬱な気持ちもどこかにいってしまった。

「しっかし、腹減ったな」

成瀬は空になったコーンスープの缶の底をコンコンと叩いて、中のコーンを取り出そうとしている。
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