社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
そっと成瀬の顔を覗き見たけれど、ずっと窓の外を眺めたままだ。

どういうつもり? なにを思っているの? また酔っぱらっているの?

聞きたいけれど、胸の中で疑問が渦巻くだけで声にならない。

気が動転してしまって、手にじんわりと汗をかいた。成瀬にはばれたくないけれど、繋がれた手をどうしていいのかわからない。

「そうかな……」

そっけない返事しかできなかった。だってこんなときにどうやって返事をするのが正解なのかわからないから。

そのあと、ふたりはなにも話をしなかった。

鎮めようと思っても静まらない……むしろどんどん加速していく胸の音が成瀬に聞こえないようにと祈ることしかできなかった。
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