社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
私は壁際に追いつめられて窮地に陥った。そしてやっと自分の愚かさに気が付く。

この人……最初から仕事の話なんてするつもりなかったんだ。

怒りをぶちまけないように、奥歯をぐっと噛んでこらえた。

もし私が男だったら、こんな思いしなくて済んだのかもしれない。

考えても仕方のないことが頭に思い浮ぶ。しかし、それよりも今はこの状況からどうやって抜け出すのか考えるほうが先決だ。

「そうだ、これもっと飲んでよ」

先ほどの焼酎が入ったグラスを手に持たされた。その時もグラスを握った私の手に安藤さんの手が重なる。ここまでくるとわざとそうしているのがわかった。

ぞわぞわと気味の悪い感覚が背中を走り抜ける。私はなんとか笑顔を作ってその場をきりぬけようとした。

「実は私、あまりお酒が得意じゃなくて」

「ん? せっかく俺が勧めた酒なのに、まさか飲めないっていんじゃないよね?」

顔色が一気に変わった。不機嫌を隠そうともしない相手にどうしていいかわからない。酒臭い息が感じ取れるくらい近くにいる。

万事休す。

これ以上は壁にめり込まない限り距離が取れないところまできて、私は俯いて目をつむった。
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