今夜、君にラブロマンスをささげよう。

(本当、わたしはダメな子だ)

 今のわたしはきっと、とっても真っ青な顔をしているに違いない。
 それくらいは鏡を見なくてもわかる。

 本来なら、とても人気のある志月先輩とのお付き合いは嬉しい。
 だけど今のわたしにとっては重い足かせのようなもの。

 一度下ろした頭は上げられない。

「ねぇ、あの子でしょう? 恐れ多くも王子様を押し倒したのってーー」
(……っつ!)
 さらなる追い打ちが背後からわたしを襲った。


 謝るわたしを(つらぬ)く女子たちの他愛もない言葉。


「ねぇ、みんなの前でやって見せた『あれ』ってやっぱり演技なのかな?」
「そりゃそうでしょうよ。普通、何にもないところでつまずいたりしないって」

 彼女たちはそれぞれ何やらヒソヒソと(ささや)いている。
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