今夜、君にラブロマンスをささげよう。
声が萎んでいくから最後の方なんか聞き取れないだろうって思う。
そして声と一緒に視線も落ちていくわけで……。
「う~ん、とね」
それでも優しい志月さんはわたしの話を最後まできちんと聞いてくれていた。
「俺はね、裁縫が不得意なんだ。まず初めの団子結びからつまずく」
「えっ?」
彼は突然何を言い出すのだろう?
顔を上げて志月さんを見ると、彼はにっこり微笑んだ。
「七瀬さんは裁縫が得意なのかな?」
「……はい」
むしろそれしかわたしの特技はない。
「それって凄いことだと俺は思うよ。お母上とお父上に大切に育てられているのだね」