バウンス・ベイビー!
やっぱり最初は気になりまくった。テーブルの向こう側、真正面に平野がいるってことが。だけどビールを飲み始めてすぐに予め頼んであったらしい料理が運ばれてきて、それどころじゃなくなったのだ。豪華な料理だった。飲み会自体が久しぶりなのもあって、私はよく飲んだ。浜口さんと前園さんが日本酒が好きだとわかってからは、3人で地酒を注文し、飲み比べなんかもしたほどに。
皆顔を赤くして、普段は会えない本社の社員の噂とか、仕込み中のビックリな失敗談、腹が立つ注文ファックスなんかについて盛り上がる。
ああ楽しい。ケラケラと笑いながら、私は満足で箸を動かす。楽しいな。入社して初めてかもしれない、こんなに楽しいって思ったの―――――――――
「あー、ちょっと俺ニコチン摂取」
高峰リーダーがそう言ってふらっと立ち上がる。前園さんが、大丈夫?とヨロヨロのリーダーを見て眉をしかめた。
「リーダーあんまりお酒強くないんじゃない?お茶頼んどきますよ、戻ったら飲んでくださいね」
北浦さんもそう言って、リーダーは男性陣の後ろをフラフラと通り過ぎながら、はいはいと手をあげる。ほんと、顔が真っ赤だった。それにリーダーがタバコを吸うってことも、私は初めて知った。
高峰リーダーが座敷を出て行ってから、私はパートさん達に言う。
「リーダーが喫煙者なの、知りませんでした」
するとテーブルの向こうで、田内さんが顔を上げた。
「僕知ってた。一度見たことがあるよ。苦情の電話きた時にさ、外で一服してた。ほら、夏にあったでしょ、むかつく苦情が」