本を片手にあなたと恋を
そろそろ帰らないと、と美桜が言うと、「じゃあ、解散しよっか。」という和樹の言葉でみんなあっさり腰をあげた。
少し、申し訳ないけれど、真央と一緒に帰れるのは嬉しい。
会計を終えて、外に出る。
「拓海、佐々木さんのこと送ってあげてよ。」
和樹のその言葉に、二人して美桜と拓海が「何で?」という顔をすると
「俺と真央はちょっと用があるから。」
そう言って、美桜にウインクした。
うわぁ、きれいなウインク。 格好いいー。
そんな、のんきなことを一瞬思い浮かべつつ、美桜は苦笑した。
これは、絶対気を使われてるやつだ。
というか、だから私、鈴木くんのこと好きなわけじゃないんだよー。
一方、拓海は特に疑問に思わなかったのか、
「ん、」
と言うと、普通に歩きだした。
慌てて美桜は追いかけながら、真央と和樹に「バイバイ」と手を振った。
沈黙が続く。
美桜は、本の少し先を歩く拓海が真っ直ぐ前を向いて歩いていることを良いことに、その横顔を眺めていた。
うん、睫毛長い。前からちょっと思ってた。