本を片手にあなたと恋を
ふと、拓海が足を止め、美桜を振り返った。
「家、どこ?」
端的にそう尋ねた拓海に、美桜は少し慌てる。
見てたのバレたかな。
「私は、このまま真っ直ぐ行って、曲がるんだけど、えっと説明できないかも。あ、そうだ。郵便局!郵便局の前でいつも真央と別れてる!」
分かった?
そう不安げに伺うと、拓海は頷いて
「佐々木が言ってる郵便局は分かる。」
と言うと、ふっと笑って
「とりあえず、方向が同じでよかった。正直、なにも考えずに歩いてたから全然違う方向だったらどうしようかと思った。」
「道が違ったらさすがに言うよー。でも、私もなんにも考えずに歩いてたけどよくよく考えたら初めてだもんね、帰るの。」
美桜がうんうんと一人で頷いていると、
「そもそも、話したこともそんなにないだろ。」
という拓海の言葉ではっと気づく。
「あぁ、ほんとだ! 今日と昨日と…。」
「先週、図書室で?」
尻切れトンボで終わった美桜の言葉を拓海が引き継ぐ。
「そ、そうだね。」
あの日、自分が逃げたことを思い出して急に恥ずかしさが募る。