本を片手にあなたと恋を
☆☆☆
「それで、そのあとどうしたの?」
意地悪く尋ねると、また拓海は目をそらす。
「二人で棚の整理して、帰った。」
「意気地無し。それじゃ、言い逃げじゃん。」
「それ、言われるとツラい。やっぱ、そうなるよな…。」
沈んでいく拓海がちょっと気の毒になる。
「美桜ちゃんはどういう反応だったの?」
拓海はやっぱり躊躇ってから答えた。
「…、目に涙溜めたまま満面の笑顔で『ありがとう』って言われた。」
「それは…、眩しい。」
想定外の反応だ。さすが、天然というかピュア過ぎて恐ろしい。
「分かんないんだよ、だから。どう思われてるのか。」
「なら、直接聞くしかないと思うけど。もっと、はっきり言っちゃえば?」
「まだ、無理。」
今日一番の赤面で顔を隠した拓海を見ながら、これはなかなか手強そうだと心の中で思うのだった。