本を片手にあなたと恋を
話が180度変わって驚く。
「カフェでスイーツ食べながら恋バナってなんかいいじゃん。そ、れ、に興味あるしー?」
何に?―とは聞かなくてもわかってしまって顔が熱くなる。
「何もないから。」
「いや、それは絶対あったでしょ。何があったの? コクられた?それともコクっちゃった?」
質問攻めされて悲鳴をあげたくなる。
「違う、違うってば。前から思ってたけど恋愛のことになると飛躍しすぎだからね、真央。」
「ちょっと自覚はある、ごめん。でも、何かがあったのは確かみたいだね?」
素直に認めたっと思ったら追求の手を休めるつもりはないみたいだ。
「ただ、私の相談を聞いてもらっちゃったというか励ましてもらったというか。」
言いながら昨日の拓海の言葉がぐるぐる回る。『一緒にいる時間が好き』とか『もっと話したい』とか今思うとちゃっとこそばゆくてあたたかい言葉。
ふと、真央が黙っていることに気づき目をあげる。目があった真央は微笑んでいた。
「恋する乙女の表情。」
「こ、恋する乙女?」
確かに、ちょっとうっとりしてたかもと思うとどんどん体温が上がってくような、恥ずかしさが募る。
「あれ、否定しないんだ。いつもは『だから、違うー』って言うのに。」
クスクス笑う真央の言葉に、更なるダメージを受ける。
「そ、それは」
あれ、何だろとっさに否定の言葉が出てこない。
「恋ですなぁ。」
もはや、にやにや笑いの真央に止めを刺される。
拓海の『好き』という言葉がまた頭のなかで何度もリピートされて、都合の言いようにしたがる自分を呪いたくなる。
想像してしまった。
あの声で好きだと言われて。
小説の中の主人公のように二人でご飯食べたり買い物したり。
きっと、気がついたら本の話をしてるんだろうな。
手をつないで歩いて、家の前でわかれる前に彼がかがんで…
だめだ、最近恋愛小説読みすぎだ。
突然、椅子を一歩引いて顔を両手で覆った美桜に真央が声をかける。
「美桜ー?大丈夫?」
「全然、大丈夫じゃない。」
そう、呟いたきり美桜はひたすらパンケーキを食べてなにを聞かれても、答えなかった、否、答えられなかった。
帰り際に言われた真央の言葉がまた美桜を悩ませた。
「告白は早くした方がいいと思うよ。あれで、あいつモテるから。」