社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「今回の旧機種は依然と人気だろう。蓮井さんはどう思う?」

「……私ですか?」

急に問いかけられて少し驚いたけれど、自分の思うところを述べてみた。

「さきほど、別件で工場の在庫を見たんですけれど山崎部長のおっしゃるとおり、在庫数もそう多くありませんし、昨日の受注も本来予想していたペースを上回っています。そうであれば、このままの施策でも売り切ることは可能ではないんでしょうか?」

この部署にきて七カ月だが、この会社にはすでに九年もいる。

これまでの経験を踏まえて、自分の考えを述べた。

「そうだね。私も同じ意見だ。今回は追加の施策はなしでいこう」

満足そうに椅子にもたれ、笑顔をみせた山崎部長に「はい」と返事をしてデスクに戻りすぐに内線で衣川くんに回答を終えた。

電話をおいてから、席に戻っていた三木さんに声をかける。

「三木さん、離席中に衣川課長から問い合わせがあってね」

名前を来た途端、ハッとした表情を浮かべた。もしかしたら、問い合わせの件を忘れていたのかもしれない。

「急いでいたみたいだから、山崎部長に確認して代わりに答えておいたから」

私の言葉に、一瞬目を細めてイライラした様子になる。

「お手数おかけしました。ありがとうございます」

「あ、うん」

取ってつけたように丁寧にお礼を言われたが、気持ちがこもっていないのがわかる。

私の言い方が悪かったのだろうか。衣川くんへの返事が遅れたことについて、誰も責めているわけではないのに。
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