社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「ちょっとね……たいしたことじゃないの。だた……うまくいかない事が多いなって」

「それで、蓮井はどうするんだ?」

「別にどうもしないわよ。いつもどおり」

そう、どうすることもできない。自分が最善の方法だと思ってやった結果だ。

社会人として当然のことだ。だから気にせずに……いるのは難しいけれど、自分のやり方をかえるつもりはない。

「お前らしいな。でも、頑張ってるんだな」

缶コーヒーを飲み終えた衣川くんは、いつもと変わらない表情で私にそう告げた。

「うん、頑張ってるよ」

「そうか」

空になった缶をゴミ箱に捨てると「お先」と声をかけてリフレッシュブースを後にした。

私はなんとなく彼の背中を見送ると、手に握り締めていた皺になった資料を見た。

早くデスクに戻って仕上げないと。さっきの会話から合田さんも急いで問い合わせの返答をメールでくれているはずだ。

そうは思うけれど、なかなか体が動かない。

今までも、あることないこと言われたことがある。

愛想の良くない私は女子社員のうわさ話に加担することもグループに属することもなかったから、その標的されやすかった。

はじめてじゃないけれど、こういうことはやっぱり慣れないと改めて自覚した。

ふと、書類をにぎりしめている手の指先を見つめた。

仁美さんに綺麗にしてもらったネイルが少し浮き始めていた。

そうだ、今日は早く仕事を終わらせてお店に行ってみよう。綺麗にネイルを整えると、きっといい気分転換になるはず。

名案を思い付いた私は、急いで自分のデスクに戻り仕事を片付けることにした。
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