社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
若林くんは隣の椅子に腰かけて、自分の膝にふわふわのタオルをのせる。そしてゆっくりと私の手をとると、その膝に乗せた。

ないも言えないまま気が付けばこの体勢になっていた私は、今さら断ることもできずに椅子持たれたまま、次に彼が行うことをじっと見ていた。

「じゃあ、はじめますね」

彼の大きな手が、私の手にかさねられすっぽりと覆われた。

彼の手の大きさを知って心臓が小さな音を立てた。

じんわりと彼の体温が私に伝わってくる。

「蓮井さんの手……冷たいですね」

強弱をつけながら私の手を確かめるように触れた。

「カサカサしてるでしょ?」

少し恥ずかしくなってきた。こんなふうに男性に手をマッサージされるのは始めてだ。

「多少はね。でもこれも色々頑張ってる証拠だと思うと素敵だなって思います」

そう言われて気が付いた。彼の言葉はいつも前向きだ。何かに着けてネガティブに考えてしまう私の心を明るい方へと導いてくれる。

「じゃあ、オイル使ってマッサージ始めますね」

オイルで汚れないように、彼が私のブラウスの袖口を丁寧に折ると、腕がむき出しになった。

急に空気に触れて、寒く感じたせいか体がぶるっと震えた。

「温度少しあげますね」

そんな私の少しの変化も見逃さずに、彼はリモコンを操作して部屋の温度をあげてくれた。
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