社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
どのくらいの間そうしていただろうか。
ふと気がつくと少し熱いおしぼりで手が包まれていた。その上から彼の大きな手が多い、私の手を拭き上げた。
背もたれにもたれかかったまま、まだ完全に目覚めていない私に彼の整った顔が寄せられた。
小さな声だったけれどしっかりと聞こえた。そのくらい至近距離だったからだ。
「お疲れ様でした。終わりましたよ」
「えっ……!」
驚いた私は、急に体を起こした。その瞬間——。
ゴツンと音がして、瞼の裏に火花が散り、額に衝撃が走る。
「うわっ!」
「痛いっ」
額をさすりながら目をあけると、そこには同じように顔を歪ませながら額をさする若林くんの姿があった。
「ご、ごめん。痛かったですか?」
「はい、オレ石頭なんで。蓮井さんは大丈夫ですか?」
様子を窺うように覗きこまれた。その瞳に心配の色がとってみえる。
ふと、額をさすっていた手が彼に優しく捕まえた。そして彼の額がぶつかったところを彼がまじまじと見つめている。
その間、私の手は彼の手に包まれたままだった。決していやなわけじゃない。
今までずっとマッサージされていたんだから。けれど気になって仕方がないのも事実だ。
「あぁ……赤くなってる」
あ、赤いってもしかして顔が?
パニックになりそうになったときに「ココ」と言って彼の指が私の額に触れた。
あ、ぶつけたところか。自分のはやとちりに恥ずかしくなる。
「なにか冷やすもの、持ってきます」
「あ、大丈夫。もう痛くないし、ちょっとぶつかっただけだから」
「でも……」