社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
心配そうにこちらをみている、若林くんに笑顔を見せた。

「それに、私が急に置きあがったのが悪いんだから、気にしないで」

体を置きあがらせた私を、まだ心配そうみつめていた。

「本当に大丈夫だからね。それより若林くんのマッサージすごく上手だった」

「そうですか? 蓮井さんにそう言ってもらえてうれしいです」

施術台から立ちあがり、ジャケットをうけとるとカウンターへと向かう。

預けてあったバッグからお財布を取り出そうとすると、その手を若林くんに止められた。

「お金はいただけないです」

きっぱりと断られたけれど、私は食い下がった。

「ダメだよ。だってマッサージしてもらったのに」

「オレが強引にやったことだし、オレはここの従業員じゃないし、ここでお金をもらうと会社の就業規則にある副業規定に違反することにならないですか?」

「そんな、大袈裟なことじゃ……」

「オレにとっては会社クビになるかもしれない、大事なことなんです。だからお金は受け取りません」

真面目な顔で大袈裟なことを言う若林くん。私たちはしばらく目を合わせた後、どちらからともなく吹きだした。

「たしかに、若林くんがクビになったら大変だから、ここはお言葉に甘えることにする」

財布を片付けた私に、若林くんが笑顔で私のトレンチコートを広げてくれている。

私は彼の心遣いに甘えて、右腕から順番に袖を通した。
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